埼玉工業大学大学院で遺伝子工学の研究をしている方(仮にYさんとする)に、より高品質な野菜を育てる科学的アドバイスをいただいています。
なんと、76歳の現役大学院生。
8月の論文発表に向けて、実験を繰り返し、毎晩1時、2時まで勉強なさっています。
かつて建設会社を経営し、バブル期にした連帯保証がもとで会社が倒産。その後、無農薬野菜を生産したり、DNAのドリンクにかかわるビジネスをしながら、遺伝子工学の奥深さにのめりこみ、60代後半から研究者の道を歩みだしました。
お会いするたびに、そのみなぎるパワーに圧倒されています。
ひょんなことからうちのお客様になっていただき、この1年、生産だけでなく経営についてもアドバイスをいただいてきました。
話はちょっとそれますが、
今年、久野農園は、生産に関して3つの取り組みを計画しています。
1つは、今までの有機農法をデータベース化して、より安価で生産性高く提供できるようになること。
2つ目は、より安全で、環境負荷の少ない自然農法(直接的な肥料を使わないで地力を維持する、活用する農法)の可能性をさぐること。
3つ目は、遺伝子を正常な状態に保つ上で欠かせない栄養素である『核酸』食品としての野菜の品質向上。具体的には、パイウォーターを活用して、土壌の活性化をはかること。
Yさんには、3つ目をすすめられていて、今日はその相談に伺いました。
というのも、久野農園、
沖縄で10年間有機農業をやってきた経験はあるものの、
埼玉に移転してまだ今年で4年目なので、土壌の肥沃さや施設、機械の充実度など、農業をしていくうえでの基盤が非常に弱い。財政的にも非常に厳しい。
なので、新しい取り組みをしていくうえで、
のどから手が飛び出るほどに、CASHがほしい。
目先の資金繰りを、パイウォーターを使った野菜作りの会費という形で集められないだろうかと、相談してしまったのです。
それに対して、Yさんから、実に3時間半にもわたって、心の講義をしていただきました。
Yさんいわく、
建設会社という建築請負業も、農業も、天気に左右される青空産業なんだよ。
雨が降ったら、工期が遅れて、人件費がかさみ、請負先からは訴訟をされたりしてお金をもらえないこともある。
でも、だからといって、先のお金を集めようとしたら、泥沼なんだよ。
自転車操業をしていて、苦しいのはわかる。よくない思いを持ってしまう気持ちもわかる。
俺は、会社を経営するなか、10年間、そういう自転車操業をしてきて、いろんな失敗をしてきた。
まずは青空産業なのだという、『あきらめ』(明らかに納得する意味での)が必要。
赤字になることもある。
その認識の上で、誠実にメインバンクをお付き合いをして、流動資金を準備して、共存共栄を図っていく。
社長っていうのは、メインバンクや取引先と誠実に話をして、お金をしっかり回しながら、目先ではなく一歩先の商品開発をやるのが仕事なのだと。
・・・・・目に涙を浮かべながら、そう話してくれました。
いやはや、言葉もありません。
ありがたい、というのはまさにこのこと。
久野農園は、昨年の秋口に、今までの売り上げの柱だった年間おまかせセットという先払い商品を撤廃し、すべて後払いの定期購入に方式をあらためました。
お客様から様々なご要望をいただいて、スタッフ全員で方向性を変えてきた結果です。
ありがたいことに、以前よりリピートしていただくお客様が増え、順調に売り上げは伸びつつありますが、いかんせん、現金が入る順番が逆になり、また、季節がら、収穫よりも種まきに時間とお金がかかる時期を迎え、目先のお金は足りていません。
いろんな心の迷いもあり、出てくるアイデアはろくなものでない。
いやはや、本当にありがたいこと。
Yさんのアドバイスを心に刻み、国や農業系の資金繰りを急ぎつつ、
Yさんとずっと付き合いのあるメインバンクの支店長を紹介していただくことになりました。
(目先の資金繰りのありかた、考え方、やりかた。に関しても、ご指導いただきました)
これを機に、
お金をしっかりまわして、生産という基盤づくりによりいっそう励みます。
CASH ON DELIVERY
それが堅実な経営。
信用が一番大事なんだと。
またひとつ、脱皮するきっかけをいただきました。
合掌。
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