幕張メッセで開催中の展示会 アグロイノベーション2009へ。
農業ビジネスへの関心の高さを実感した。
農業”生産”の観点では、植物工場の人気が際立つ。
自然ではなく人間が、どこまで生産をコントロールできるかに注力している。こうでもしないと、ビジネスとして参入しにくいのだということはわかるけれども、ちょいと局地的な視点にとらわれすぎなんじゃないかと疑念が残る。一部分だけ切り取ってその中での生産性をあげることやコスト削減はできても、相手は命ある生き物だし、『作り出せる』ものじゃあない。
環境をコントロールしようとしているけど、そんなにうまくはいかねえよ、と正直思う。
本当にコントロールすべきは人間自身の内なる世界であるはず。
一方で、新しい資材や技術(生産から包装、貯蔵、加工に関するもの)の紹介や、システム系(ほ場管理、トレーサビリティ、JGAP等のデータ管理システム)の出展も多かった。
こちらは、着実に進化している感じ。うちでも積極的に取り入れていきたいものがたくさんあった。小さな規模で環境に優しい隠遁生活を目指していく時代はもう終わった。ものごとを平明に見れる人間が、しっかり計画して理念をもって、協力して社会正義に取り組んでいく時代になった。
セミナーは、イオンの取り組みと、モスバーガーの取り組みを聴講。
イオンでは、野菜の品質の正しい評価を実現するために、野菜が持っている機能性、環境性、生産者の努力を伝えていき、価格以外の判断基準にスイッチしていただく取り組みに力を入れている。
いままでの主流だった『お客様に近づくためのコスト』(セール等の販促費)を原資として、イオンの理念に沿った高い品質の野菜を買ってくれたお客様に、応援してくれたお礼としてワオンポイントを付与していくという。お客様に近づくためのコストから、お客様に近づいてもらうためのコストへの転換。(自分たちの価値観に賛同してくれる、応援してくれる)
言葉にしてしまうと当たり前のことだが、本気度を感じた。
モスバーガーとの比較で対照的だったのは、モスはワタミファームのようにかなり真剣に農業生産に取り組もうとしているが、イオンは生産自体はかなり安全運転で参入しようとしているように感じた。
モスバーガーと群馬県の農業団体『野菜くらぶ』の共同出資で作った農業生産法人サングレイスの経営状況をみても、予算と実際の差額がかなり大きい。あのプロ集団『野菜くらぶ』が共同出資しても、3年目でようやく黒字が見えてくるという状況なのだから、人件費をかけながら農業生産をしていくということの難しさがわかる。
それにしても、有機農業は元気がないなあ。。。
理念を実現していく仕組みが悪すぎる。有機農業に携わる者としていつものことながら危機感を覚える。
いつまでも『尊王攘夷』なんて言ってる場合じゃないよ。有機農業界は。
コメント
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