地主に農地の利用料金を支払いに行く。
300坪の農地で、1年間およそ6000円~10000円。
それがこのあたりの相場。
支払いが遅れたにも関わらず、何人もの地主の方が、
そんなにもらうわけにはいかない、という。
畑を見て、
『土がまだ硬くて、苦労かけてんなあ』って
気を使ってくれる。
確かに、今年の作付、今年の売り上げを考えたら、
決してすべての畑が条件がいいわけではない。
一方で、
距離は車で10分ほどしか離れていないにもかかわらず、
今年に入って新たに借り受けた寄居町の畑は、
過去に借りたどんな畑よりも圧倒的に生産性が高い。
人参などの根菜で比較するなら、実にその差は5~10倍。
それくらい、土は作物に影響を及ぼす。
『条件の悪い畑でやっても、報われないよ。』
『地域にしばられる必要はないよ。』
何度も何度もそう言われ、
いつかきっと、そのうちきっと、絶対になんとかしてみせる。
沖縄の渡嘉敷島での10年はその繰り返しだった。
寄居のやわらかな畑で、夫婦ふたり、つい、つぶやく。
『わたしたちは、なにをやってたんだろうね』
うん、でもね、
そうはいってもね、
やっぱり、壁はぜったい無くならないんだよ。
結局のところは、ワレワレは、土に自分をうまく合わせる事ができなかった。
環境に自分を合わせて、力を発揮することができなかった。
だから、今ここにこれたんだよ。
土は10年かければ、少しずつ変わっていく。
環境も長いスパンで変わっていく。
でも、自分は、その気になれば今すぐ変われる。
貸してくれた畑で、収益をあげていくスキルはなんといっても絶対必要。
お客様の求めているもの、自分たちの得意なものに合わせて、
より条件の良い環境を選んでいく目も、やはり必要。
だけど、その前に、お前になら貸してやるよ、がんばってみろよ。
そう言ってもらえる人間であることが、一番最初に必要。
肝心なところが全然できてないなあ、と
地主の方々に対して、頭が下がる一日でした。